議会発言集
議会発言集
令和 4年 決算審査特別委員会(健康福祉分科会 第2日)−09月29日-07号
令和3年 決算審査特別委員会(文教分科会 第1日)−09月22日-04号
令和2年 決算審査特別委員会(文教分科会 第2日)−09月25日-05号
令和1年 決算審査特別委員会(総務分科会 第1日)−09月19日-02号
令和1年 決算審査特別委員会(総務分科会 第2日)−09月25日-03号
平成30年 決算審査特別委員会(健康福祉分科会 第2日)−09月28日-
平成29年 決算審査特別委員会(総務分科会 第2日)−09月21日-
平成29年 決算審査特別委員会(総務分科会 第1日)−09月19日-
平成27年 第1回定例会ー2月26日ー 自民党代表質問(前編)
平成15年 決算審査特別委員会(一般会計・特別会計)−12月12日
平成12年 決算審査特別委員会(一般会計・特別会計)−12月11日-
平成18年 第4回定例会−12月06日-02号
◆ ◎市長(阿部孝夫) それでは、私から、ただいまの自民党を代表されました石田議員の御質問にお答えいたします。
まず、リーダーシップについてのお尋ねでございますが、私は昨年、自治体の長に求められるべきリーダーシップとして、社会や経済の枠組みが大きくかつ急速に変化する中、こうした環境変化を乗り越え、市民が安心して、また生きがいを持って暮らせるまちづくりを進める上での迅速かつ的確な決断が重要であるとお答えをさせていただきましたが、今もこの基本的な考え方に変わるところはございません。
我が国の経済はバブル崩壊後の長期停滞を克服し、ようやく着実な回復を見せているところでございますが、少子高齢化の進行や人口減少社会への移行、さらに地球環境問題の顕在化など、社会構造全体が大きく転換期を迎えている中で、地方においても、単なる景気変動への対応にとどまることなく、これまでの右肩上がりの成長を前提とする考え方から脱却して、持続可能な社会づくりを目指して主体的に行動していくことが大切であります。また、地方分権改革の推進により、地方の責務が一層高まる中、公平公正で透明性の高い行政運営を徹底するとともに、市政執行における説明責任を果たしていくことにより、市民の信託にこたえていくことも特に重要であると考えているところでございます。
私は、こうした認識のもとに、市民が生き生きと心豊かに暮らせる持続可能なまち・かわさきの目指すべき姿をお示しするとともに、これを実現するための政策を明確にし、着実に実行していくことが自治体の長としての私自身の責務であると考えておりますので、今後も行財政改革の断行、新総合計画の推進、さらに自治基本条例に基づく市民本位のまちづくりを原動力に、元気都市かわさきの実現に向け、率先して取り組んでまいりたいと存じます。
次に、情操教育についてのお尋ねでございますが、情操を豊かにしていくための基本は、人と人との温かい触れ合いにあると考えております。現代社会は、情報化による人間性の疎外、孤立化、そして心の荒廃など、さまざまな問題を抱えており、その中で人間が人間らしく生きる社会の実現に向けての道筋が模索されているところでございます。人間としてどのように生きていくかという規範意識の一つには、他人に迷惑をかけない、他人を傷つけないことが挙げられますけれども、この根本の価値観が揺らいでいる傾向がございます。規範意識の確立は、低年齢から成人に至るまで時間をかけて行われるものであり、自己存在感や自己肯定感といった認識とともにつくり上げられていくという側面を持っていると思います。地域社会や家族、学校から自己の存在を認められることは非常に重要な意味を持つものと考えております。
現在、本市におきましては、音楽のまちづくり、地域文化のまちづくり、緑の景観づくりなど、地域に根差した文化芸術の活性化、豊かな自然環境づくりを進めておりますが、これらを身近に感じることのできる環境の中でこそ、地域の人たちが豊かに結びつき、ともに生きることができるのではないかと考えております。川崎は地域社会を構成する豊かな人材や地域に立地する企業など、豊かな地域資源に恵まれております。こうした力を結集し、子どもたちに生きる力を身につけさせる地域社会をつくり上げていくことが特に大切であると考えております。
次に、ミューザ川崎シンフォニーホールにおける演奏についてのお尋ねでございますが、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は世界のコンサート・ランキングでトップクラスであり、また、アーノンクール氏やヤンソンス氏は、ともに新年恒例となっておりますウィーンのニューイヤーコンサートで指揮をしており、ヨーロッパではチケットが入手できないほどの世界屈指の指揮者であります。アーノンクール氏の指揮によるベートーベン交響曲第7番は、やわらかな音色のすばらしさ、全体のバランスのよさ、力強さなど見事な演奏であったと思います。また、ヤンソンス氏の指揮によるドヴォルザーク交響曲第9番につきましては、なじみのある曲でありますが、演奏の躍動感、テンポのよさ、各パートの音のバランス等は他では味わえないほど大変すばらしいものでございました。できるものならば、両指揮者と管弦楽団による他の曲も一度聞いてみたいと思っているところでございます。
オープンしてわずか2年半でありながら、極めて音響のすぐれたミューザ川崎シンフォニーホールにおきまして、このようなすばらしい演奏に触れることができまして、大変に感銘を受けたところでございます。ミューザ川崎シンフォニーホールが、こうした世界の最高レベルの音楽芸術を創造する場として、多くの聴衆と演奏家の方から評価され、川崎から世界に発信する魅力あるホールとなることを期待いたしております。また、ミューザ川崎シンフォニーホールを核とした、音楽のまち・かわさきの取り組みが着実に進んでいることを実感しているところでございまして、今後もさらなる広がりを期待したいと思います。
次に、予算編成についてのお尋ねでございますが、平成17年度の市税収入は、課税所得の増に伴う個人市民税の増加や企業収益の増に伴う法人市民税の増加などから、4年ぶりの増収となったところでございます。平成18年度予算におきましては、評価がえによる固定資産税や都市計画税の減少を見込んでいるものの、定率減税の縮減などから、平成17年度当初予算と比較いたしまして増収を見込んでおります。
現段階の平成19年度の市税収入の見込みにつきましては、所得税から住民税への税源移譲や定率減税の廃止などから、平成18年度と比較いたしまして市税収入は大幅な増収となるものと見込んでおりますが、所得譲与税の廃止や地方特例交付金の減などから、一般財源としての増は限定的なものと考えております。
財政フレームでお示ししておりますように、実行計画事業費は歳入見込みを上回っておりますが、実行計画を着実に推進することはもちろんのこと、今年度からの地方債の協議制度への移行に対応することや、公共建築物の耐震対策など、実行計画策定後の環境変化にも的確に対応することも重要なことと認識いたしております。
平成19年度予算編成に当たりましては、こうした本市を取り巻く財政状況や環境変化に的確に対応するとともに、行財政改革により生み出された効果を市民の皆様に極力還元できるよう予算編成を行ってまいりたいと考えております。
税源移譲についてのお尋ねでございますが、平成19年度におきまして、これまで地方6団体や指定都市が協力して国に対し意見を述べ、平成12年度の地方分権一括法の施行以来、長年の懸案であった、国から地方への税財源の移譲が実現するものでございます。国から地方への税源移譲は、国庫補助負担金による地方への規制の排除や国への申請等に係る事務軽減につながるとともに、地方みずからの責任と判断によりその使途を決定できる貴重な財源が増加し、地方の自由度が増すものと認識いたしております。しかしながら、国庫補助負担金の改革では、単に補助率の引き下げにとどまったものもあり、真の地方分権の確立に向けては、その内容、規模とも不十分なものとなっております。そのため、このたびの制度改正で移譲される財源につきましては、基本構想に掲げるまちづくりの基本目標実現に向け有効に活用し、引き続き簡素で効率的な行財政システムの構築に取り組むことが重要であると考えております。
地方分権改革についてのお尋ねでございますが、地方分権改革は、住民が真にゆとりと豊かさを実感できる社会を実現するため、国と地方の役割分担を明確にした上で、地方の自主性、自立性を高めることにより、国の形を中央集権型から地方分権型へ大きく転換していくことを目指して行われるべき取り組みであると思います。しかしながら、ただいまも申し上げましたとおり、これまでの三位一体の改革では、3兆円の税源移譲が実現したものの、地方の自由度、裁量度を高めるという本来の趣旨とは余りにもかけ離れ、その規模、内容とも不十分な結果に終わっております。こうした状況の中で、さらなる地方分権改革が必要であるとの認識に基づき、地方6団体から「新地方分権推進法」の制定など7つの提言から成る意見書が内閣に提出され、これを受ける形で、今国会において地方分権改革推進法案の審議が行われているところでございます。この法案の成立により、国における具体的な動きとして地方分権改革が再スタートすることが今後の地方分権改革にとって大変重要なことと考えております。
今後、この法案が成立いたしますと、来春ごろには新たに地方分権改革推進委員会が設置され、地方分権の具体的な審議が始まる見通しでございますが、その際には、これまで地方が求めてきた地方分権改革の内容が具現化される方向で審議が進むよう、その動向を十分に注視するとともに、地方6団体、八都県市首脳会議及び指定都市市長会などとも連携し、あるいは私独自といたしましても、国等に積極的に働きかけてまいる所存でございます。
教育委員会のあり方についてのお尋ねでございますが、教育委員会制度につきましては、戦後の昭和23年に導入され、教育委員の選任については、公選制が採用されましたが、その後、昭和31年に、政治的中立性の確保と一般行政との調和の実現を目的として、教育委員会法にかえて、地方教育行政の組織及び運営に関する法律が制定され、教育委員の選任については、公選制が廃止され、首長が議会の同意を得て任命することとされたわけでございます。その後も平成10 年の中央教育審議会の答申を受けて、平成11年に地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正により、教育長の任命承認制度が廃止され、さらには、平成 12年の教育改革国民会議の提言を受けて、教育委員に保護者を含めるよう努めることが規定されるなど、数次にわたり改正が行われ、現行制度に至っております。
現在、教育をめぐりましては、その根本である教育基本法の改正を初め、いじめや履修漏れ問題など緊急に取り組むべき課題や、教員の資質向上、人事評価制度、免許制度、給与体系など、さらには家庭教育の充実、学力向上、指導要領の改訂、学校の評価改善、コミュニティスクールの推進などについて、教育再生会議や中央教育審議会等において議論が行われております。その中で、教育委員会制度については、設置についての任意性など、あり方についての基本的な問題から教育委員会活性化方策などに至るまで、さまざまな議論がなされているところでございます。
今後の教育委員会のあり方につきましては、それらの議論の推移を見守るとともに、市民にとって最も望ましい教育のあり方、地方分権型の国と地方との役割分担などへの対応、そういった新しいいろいろな課題に対応できて、そして最終的には未来を担う子どもたちのために、地域で責任を持って教育が行えるようなシステムになるように期待をいたしているところでございます。
次に、区長の外部登用についてのお尋ねでございますが、宮前区長は、特定任期付職員として平成17年度から登用している政令市初の民間人区長でございます。特定任期付職員につきましては、課題解決等の業績を単年度ごとに評価していくことといたしておりますが、就任1年目の取り組みに対する評価につきましては、本年3月に私自身が直接区長と面談を実施するなどで評価いたしておりますけれども、これまで民間の感覚で数々の事業に取り組み、区民の方々と協働しながら、任用に当たって、当初に私からお話しした期待に沿った成果を上げているものと評価いたしております。さらに、平成18年度からは、局長級の職員を対象に目標管理の手法を用いて、その業績を評価する局長業績評価制度を導入し、宮前区長につきましても、対象といたしておりますので、今年度はこの結果も踏まえながら適切に評価してまいりたいと存じます。
次に、任期についてでございますが、区の課題解決等の業務遂行に必要な一定期間として2年としたものでございますけれども、制度上は5年までの延長が可能となっております。また、区長選任につきましては、区役所の活性化に向けて民間人の登用も一つの方法と考えているところでございますが、適任者を選任することが何よりも重要でございますので、今後とも検討してまいりたいと考えております。
次に、公共建築物の耐震対策についてのお尋ねでございますが、公共建築物の耐震対策につきましては、市民の方々に必要な情報を提供し、情報の共有化を進めることにより、御理解と御協力をいただきながら着実に推進するため、10月25日に耐震診断結果を公表いたしました。今後、耐震対策を推進してまいりますけれども、補強や建てかえには多くの経費と時間、マンパワーを必要とするとともに、これによって日常の市民サービスを低下させることなく、行政として果たすべき機能を保持しながら、耐震対策を着実かつ計画的に進めていくことが大切であると考えております。具体的には、学校を含めました多数の市民が利用する市民利用施設を優先に、地域防災上の位置づけなどを勘案しながら、平成19年度までに、耐震補強か改築かなどといった施設ごとの対応方針を踏まえた耐震対策実施計画を策定し、平成27年度までに着実に耐震対策を実施してまいりたいと考えております。さらに、耐震診断の結果、特に耐震性能の低い部分がありましたAランクの施設につきましては、耐震対策完了までの間の応急対策として、なるべく早期に緊急補強工事を実施し、可能な限り耐震性の向上を図るため、今議会に公共建築物耐震化推進のための補正予算を御提案させていただいているところでございます。
本庁舎及び第2庁舎につきましても、この緊急補強工事を実施し耐震性の向上を図ってまいりたいと考えておりますが、本庁舎及び第2庁舎につきましては、建物の規模や行政機能が大きいことから、最終的な耐震対策は極めて大規模なものになると考えております。したがいまして、今年度実施しております、どのような耐震対策がとれるのかを明らかにするための耐震補強基本計画調査の結果や他施設の進捗状況などを考慮するとともに、市民や議員の皆様など関係者の方々からの御意見等も伺いながら検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、川崎北部保健医療圏の病床整備についてのお尋ねでございますが、初めに、今回の病床整備に関する事前協議には、6件の申し出を医療法人等からいただいております。
次に、病院の設置に伴う周辺のインフラ整備につきましては、申し出の中からどの計画が選ばれるか確定しておらず、具体的に検討する段階にはございませんけれども、市民に必要とされる政策医療等の支援については今後検討してまいりたいと存じます。
次に、北部地域に整備される病院等の内容につきましては、総合的な病院が望ましいとする考え方に変わりはございません。
次に、KCT損害賠償請求事件についてのお尋ねでございますが、判決の見解についてでございますが、KCTの訴訟に関しては、本市は勝訴しておりますが、今回の判決理由の一部において、本市の見解及び損失補償が適法であるという従来からの判例とは異なる判断が述べられておりまして、大変遺憾であると考えております。原告が控訴しないということなので、今回の判決における違法という判断については、最終的には最高裁まで争ってみないとわからないものでありますけれども、本市は裁判に勝訴いたしておりますので、控訴で確認することはできないものでございます。しかしながら、支出そのものについては正当性があるとされ、判決主文においては、原告の訴えを却下・棄却するとして退けて、訴訟費用についても全額原告の負担とする本市勝訴の判決を得たものでございます。
次に、損失補償の今後の対応についてでございますけれども、損失補償は、地方公共団体において広く実施されている制度でありまして、本市においても、行政目的を効果的に達成するため、事業の公益性等を精査した上で、相手方との信頼関係を構築し、事業の円滑な遂行を図るため必要と判断したものについてのみ、議会の議決をいただいて実施してきたところでございます。今後の対応につきましては、これまで同様、事業の公益性等その内容を十分精査するとともに慎重に判断し、適切な対応を行ってまいります。
次に、専決処分についてのお尋ねでございますが、地方自治法第179条に基づく専決処分は、議決すべき事件について、議会を招集するいとまがないときに行うべきものでございまして、例外的に行われるべきものと認識いたしております。
今議会におきまして、4件の専決処分について議会の承認をいただくために議案を提出しておりますが、前回の議会の終了間際の9月末に公布された政省令を確認する必要があったため、前回の議会に提案できなかったもののほか、条例改正の必要性を認識することがおくれたことによるものもあることにつきましては、遺憾とするところでございます。
今後、法令の改正等の情報を可能な限り早く入手するとともに、職員の法務能力の向上を図り、法令の改正等が本市の条例にどのように影響するか等を的確に把握し、速やかに対応するという基本を徹底してまいりたいと存じます。
◆ ◎教育長(北條秀衛) 教育委員会関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、本市の学校におけるいじめについての御質問でございますが、学校におけるいじめの発生件数の推移と分析についてでございますが、いじめの発生件数は、過去6年間の推移を見ますとほぼ横ばいでございます。平成17年度は、小学校では57件で、前年度と比べると16件の増加、中学校では234件で 64件の減少、高等学校ではゼロ件で4件の減少でございます。また、いじめの内容は、小学校では、冷やかしやからかい、言葉でのおどし、仲間外れ等が多く、中学校では、冷やかしやからかい、暴力、言葉でのおどしが多くなっております。いじめの解消率は、小学校では94.7%、中学校では88.0%で、ほぼ全国と同様な傾向になっております。発生件数が中学校で減少した要因の一つとして、市立中学校51校すべてにスクールカウンセラーが配置されたことが挙げられます。
次に、いじめ問題への課題でございますが、いじめの陰湿化などにより、いじめが周りから見えにくくなっていたり、いじめの連鎖と言われますように、加害者や被害者が次々にかわったりすることにより、実態把握が難しく解決しにくいことが挙げられます。
次に、現在の取り組みについてでございますが、年度初めに、市内公立学校の全児童生徒に相談カード「ひとりで悩まないで」を配付し、学校だけでなくどの機関でも相談できる体制があることを周知したり、児童生徒指導ハンドブックや「心ゆたかな子どもの育成のために」の冊子をもとに、いじめに対する校内の児童生徒指導体制の再点検や再確認をしたり、校長会によるいじめに関する緊急アンケートを実施し、実態把握に努めているところでございます。また、いじめが発生した場合には、学校やPTA、保護者、教育委員会が連携し、迅速な対応と早期解決を図っております。
次に、今後の具体的な対応についてでございますが、迅速で的確な対応を図るために、教職員の共通理解のもとに児童生徒指導体制を整備・充実し、教育相談の機能を十分に活用するとともに、さらに教職員の研修や情報の共有化に取り組んでまいります。また、子どもたちの声の把握につきましては、日常的なコミュニケーションを大切にした学校の人間関係づくりや定期的な教育相談、子ども会議の充実を図り、さまざまな機会をとらえて、子ども一人一人の声の把握に努めてまいりたいと考えております。
次に、教員の資質向上についての御質問でございますが、国におきましては、平成18年7月の中央教育審議会において、「今後の教員養成・免許制度の在り方について」、教員免許に更新制を適用することなどが答申されました。この中で、大学における教員免許状を取得するための教員養成カリキュラムについて、教員として必要な資質能力を確実に身につけさせるための教職実践演習の新設・必修化や教育実習の改善・充実を図ることが提言されております。また、実践的な指導力を備えた新人教員や中核的、指導的な役割を担う現職教員の養成などを目的とした教職大学院の創設も打ち出されたところでございます。
本市におきましては、教員採用において、近隣や地方の教員養成大学での説明会の開催や、学生のみならず社会人も対象とした説明会を市内の会場において夜間に開催するなど、広報の充実を図ってまいりました。採用試験の実施に当たっては、正規教員や臨時的任用職員などの教職経験者に対し、1次試験の筆記試験を免除するなど、社会経験のある方々が受験しやすいよう工夫を加え、試験内容につきましても、受験者の臨機の対応や人間性をより深く見るため、集団討論にかえて場面指導を採用するなど、教員としてふさわしい人材を幅広く確保するよう努めているところでございます。
また、採用後の教員の資質向上につきましては、新規採用者を対象とした初任者研修及び市独自の2年目研修を初めとして、教職員が経験年数に応じてその能力を確実に高めていけるように、計画的な研修制度の充実を図るとともに、職場を離れて現職教員を大学院や企業へ派遣する研修なども実施しております。それぞれの所属する学校においても、各学校の特色を生かした校内研修や授業研究などを行い、実践的な指導力の向上にも努めているところでございます。さらに、教員全体の意欲と能力を引き出し、その力量を高めることを目的として、平成16年度からすぐれた教育実践を行った教員を表彰するとともに、その教育実践例を各学校へ普及するよう努めているところでございます。
次に、いじめ問題における組織体制についての御質問でございますが、教育委員会では、昨年度より、学校の諸課題を迅速に解決するために、各区に学校運営支援担当を配置し、いじめ問題につきましても迅速に対応することに努めているところでございます。学校運営支援担当といたしましては、各校種校長会議、学校警察連絡協議会、児童生徒指導連絡会議、地域教育会議、PTA連絡協議会などの関係機関・団体と連携を図り、情報交換を密に行うとともに、それぞれの機関が持つ機能を効果的に発揮できるように連絡調整を行っているところでございます。また、区役所の関係各課や地域の関係機関・団体とも連携を深め、いじめの実態把握や未然防止に努めているところでございます。いずれにいたしましても、これらの組織を有機的に連携し、活用することが重要と認識しておりますので、これまで以上にネットワーク化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
次に、学校の適正規模・適正配置についての御質問でございますが、初めに、これまでの取り組みについてでございますが、平成15年12月に「川崎市立小・中学校における適正規模・適正配置へ向けての取り組み」をまとめ、早急な対応を要する学校として、過大規模校5校と小規模校6校を発表いたしました。また、これらの学校の適正規模化に向けての方策を調査検討するため、各学校が所在する行政区ごとに検討委員会を設置し、小規模校については、学校ごとに検討部会を設けることといたしました。平成16年7月以降、これまでに行政区の検討委員会を17回、学校ごとの検討部会を51回開催し、地域の方々と検討を行ってまいりました。これらの検討委員会からの報告を受け、適正規模化の方針を決定いたしました。
次に、行政区及び学校部会の取り組み及び適正規模化に向けての方針でございますが、幸区の河原町小学校につきましては、御幸小学校へ統合することが適切であるとの検討結果を受け、平成18年4月に御幸小学校に統合いたしました。中原区の下河原小学校につきましては、児童数の増加傾向と、隣接する平間小学校の通学区域のうち、下河原小学校に近い地域との間で通学区域の調整を行うことも必要であるとの中原区学校適正規模・適正配置検討委員会の報告を踏まえ、児童数の推移を見守ることといたしました。麻生区でございますが、同様に麻生区学校適正規模・適正配置検討委員会からの報告を踏まえ、虹ヶ丘小学校につきましては、地域コミュニティの核であり、また、隣接校と遠隔であることから、当面、近隣校との連携と地域協力体制の強化のもと学校を運営するとともに、王禅寺地区との連携の推移を見守ることといたしました。白山小学校と王禅寺小学校につきましては、平成21年度までに統合し、統合後の学校の位置は王禅寺小学校敷地とすることといたしました。白山中学校と王禅寺中学校につきましては、平成20年度に統合し、統合後の学校の位置は王禅寺中学校敷地とすることといたしました。
また、過大規模校でございますが、高津区の子母口小学校につきましては、高津区学校適正規模・適正配置検討委員会においては、分離新設により過大規模校の解消を行うことが望ましいとの結論に至りました。これを踏まえ、通学区域内の市営四方嶺住宅の跡地を候補地とし、用地取得に向け、庁内調整を行うことといたしました。宮前区でございますが、同様に、宮前区学校適正規模・適正配置検討委員会からの報告を受け、宮崎小学校につきましては、土橋小学校の開校に伴う児童数減にあわせて、今後通学区域の一部の見直しを図ることといたしました。野川小学校につきましては、児童数長期推計の将来的な減少傾向があるため、児童数の増減を注視することといたしました。なお、富士見台小学校と鷺沼小学校につきましては、土橋小学校の新設に伴い、過大規模を解消いたしました。
次に、今後の進め方でございますが、白山小学校・王禅寺小学校及び白山中学校・王禅寺中学校の統合につきましては、学校名や通学路の設定等統合を円滑に進めるために統合準備委員会を設置いたしました。また、魅力ある学校づくりのための地域懇談会を開催し、新しい学校に望まれる学校像や教育環境の整備といったことに対する御意見や御要望を保護者や地域の方々からいただき、統合に伴う魅力ある学校づくりに反映させていく予定でございます。新しい学校はニリューアルを施し、施設面で新しい機能を備えるとともに、今後のモデル校となるような教育実践に取り組んでまいりたいと考えております。また、新たな取り組みといたしまして、学校の小規模化が進んでいる桜本小学校、東桜本小学校及び桜本中学校の適正規模化の方策を検討するための検討委員会を設置したところでございます。
◆ ◎総務局長(曽禰純一郎) 総務局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、病気休暇制度等についての御質問でございますが、病気休暇の承認につきましては、これまでも厳正な審査をしてまいりましたが、病気休暇の不適切使用の報道後、改めて各局に対して病気休暇制度の適正な運用を確認するとともに、所属から提出された診断書等により病気休暇の取得要件等について調査を実施いたしました。結果として妥当性を欠くような病気休暇を取得している職員はおりませんでした。
次に、病気休暇のチェック体制でございますが、提出された診断書等により病状を確認しているほか、1カ月以上の長期療養者につきましては、毎月、市立病院の医師等を委員とした職員衛生管理審査委員会におきまして、職員から提出された現在の病状及び日常生活の状況が記入された病状報告書、診断書やレントゲン写真等により、療養の継続か、復帰させるかを判断しております。それ以外にも、必要に応じて産業医や精神相談医による本人との面談、主治医への病状照会を行うとともに、所属長は主治医への面談や自宅訪問等により定期的な連絡を行うなど、療養者が職場に早期復帰できるよう支援体制を確保しているところでございます。
次に、長期療養者が生じた部署での業務対応についてでございますが、現行体制の中で業務分担の見直しを行うなどにより対応いたしますが、業務に支障が生じる場合は代替職員の確保等により市民サービスの低下を招かないように対応しているところでございます。
次に、病気休暇を認める手続につきましては、病気休暇願に医師の診断書や領収書などの証明書類を添付して任命権者に提出し、必要最小限度の範囲内で承認しているところでございます。また、病気休暇中の職員への給与の支払いにつきましては、現行では病気休暇が180日を超えるまでは全額支給、180日を超えてからは半額支給としておりますが、国との均衡を図る観点から、平成19年4月1日より全額支給される期間を90日に変更することとなっております。
次に、本市における分限の考え方につきましては、病気休職3年を迎える職員が、職場への復帰が困難であると認める場合につきましては、まずは主治医や家族等を含めて所属との間で今後の進路について相談しているところでございます。任命権者といたしましては、地方公務員法及び川崎市職員の分限に関する条例に基づきまして、国家公務員または地方公務員等の医師を指定医師として、病状や職務遂行の可否を判断していただき、その結果、職務の遂行に支障がある、またはこれにたえないと判断した場合には、分限免職処分を行うこととしております。今後は、人事院の通知を踏まえまして、より一層病状や職務遂行能力の的確な把握に努め、適時適切に分限制度を運用してまいりたいと考えているところでございます。
次に、職員への法令遵守の徹底等についてでございますが、公務員倫理の確立や服務規律の確保に向けて、毎年職場において実施される自主考査や服務監察担当の実施する予防的監察、研修等の機会におきまして、公正かつ民主的な市政運営が構築できるよう、職員一人一人に周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
次に、電子申請についての御質問でございますが、初めに、本人確認につきましては、手続に応じた複数の認証方式を予定しているところでございます。窓口での申請では実印の押印や写真つきの身分証明書の提示を求めるなど、厳密な本人確認が必要となる保有個人情報開示請求などの手続につきましては、住民基本台帳カードを利用した公的個人認証により本人認証を行うこととしております。
次に、認め印の押印や署名が必要な防火管理者選任(解任)届などの手続につきましては、仮称市民カードを用いて、登録番号、パスワード、第2パスワードによって本人認証を行うこととしております。さらに、記名やはがき、または粗大ごみの収集申し込みなどのような電話でも申請できる比較的軽易な本人確認によって行っている手続につきましては、インターネットにより登録いただきますID及びパスワードで本人認証を行うこととしております。
次に、仮称市民カードのセキュリティについてでございますが、なりすましや市民カードの紛失などを想定いたしまして、パスワードの随時変更を可能とし、また、カードの紛失時には区役所等の窓口に連絡をしていただければ機能の一時停止を行うこととしております。さらに、誤ったパスワードを5回入力した場合には利用ができなくなる仕組みとするなど万全なセキュリティ対策を講じることとしております。
次に、パスワードのけた数についてでございますが、セキュリティの確保には最低6けたは必要と考えておりますが、パスワードは、そのけた数が大きいほど安全でございますので6けたから16けたまでの任意のけた数を選択していただくこととしたところでございます。
また、キオスク端末の今後の設置場所の拡大につきましては、区役所・支所・出張所の利用状況を踏まえまして、既に多くの皆様に御利用いただいております行政サービスコーナーに順次導入することに向けまして検討を進めているところでございます。いずれにいたしましても、市民の皆様の御意見や利用状況等を見きわめた上で、最も効果的かつ効率的に運営できるように検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
◆ ◎総合企画局長(三浦淳) 総合企画局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、アメリカンフットボールワールドカップについての御質問でございますが、アメリカンフットボールワールドカップという国際的なスポーツイベントが川崎の地で開催されますことは、川崎の魅力や価値を一層高めるとともに、世界に川崎を発信する大変よい機会であると考えております。このような観点から、大会の成功及び大会開催による本市のイメージアップを目指しまして、主催者であるワールドカップ組織委員会や幅広い市民の方々で構成される支援委員会と連携を図りながら、さまざまな取り組みを進めているところでございます。会場につきましては、国際規格に沿った施設整備を行うことはもとより、会場周辺や最寄り駅周辺におきましても、来場された方々が楽しい雰囲気を感じていただけるような環境整備を進めてまいりたいと存じます。また、ワールドカップを、多くの方々の心に長く残る感動的な大会としていくためには、御指摘のとおり全市的に大会機運を盛り上げていくことが大変重要であると認識しております。このため、これまでも、より多くの方々にアメリカンフットボールの魅力を知っていただくための取り組みとして、市民招待試合の実施や観戦ガイドブックの配布、ラッピングバスの運行やアゼリアビジョンなどにおけるプロモーションビデオの放映、さらには光のメモリアルに合わせた本庁舎へのアメリカンフットボール選手のバルーン設置など、まち中におけるワールドカップに向けた雰囲気づくりに努めるとともに、アメリカンフットボールの普及を目指した小中学校におけるフラッグフットボールの導入などに取り組んでいるところでございます。
今後の取り組みといたしましても、さらに大会機運を高めるため、この12月中旬に川崎地下街アゼリアにカウントダウンモニュメントを設置するほか、各種メディアを活用した市内外への情報の発信や、小中学生フラッグフットボール交流大会の開催、さらには、大会参加国の物産展や交流イベントの開催など、国や県などとも連携を図りながら、川崎の魅力の発信や新たな川崎の魅力の創造につながるよう積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、区予算についての御質問でございますが、区長が地域の状況を踏まえ、主体的に地域の課題解決を図るために、区役所の機能強化を進める中で区予算の充実に取り組んでいるところでございます。平成18年度の取り組みといたしましては、区の課題解決のための事業につきましては、この4月に施行した、区における総合行政の推進に関する規則に基づき、区による地域の視点から総合的な課題の解決が図られるよう、局区間の事業調整の枠組みを整備し、現在、平成 19年度予算につきまして調整を行っているところでございます。また、協働推進事業につきましては、従来の魅力ある区づくり推進事業を、区民との協働による課題解決のための事業としての役割をより明確にし発展させたものでございまして、予算額も各区500万円増額して5,500万円とし、現在各区において事業を進めているところでございます。
これら平成18年度の区予算に関する取り組みの成果につきましては、平成19年度において、区の課題解決のための事業につきましては、局区間の事業調整のあり方を中心に評価・検証を行い、また、協働推進事業につきましては、区ごとに事業の評価を行ってまいりたいと存じます。協働推進事業の評価方法といたしましては、従来の魅力ある区づくり推進事業の評価方法を踏まえながら、中原区、宮前区及び多摩区では、区民会議の専門部会の活用を、また、高津区では、主要な事業に対する外部評価を今年度に引き続き予定しており、他の区につきましても、区ごとに工夫しながら評価を実施していく予定でございます。今後も引き続き、これら評価・検証の結果を踏まえまして、区の課題解決のための事業及び協働推進事業の充実に努め、区が主体となって、区民との協働等により地域の視点からの総合的な課題解決が図られるよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、パブリックコメント手続条例についての御質問でございますが、初めに、この条例を制定する意義についてでございますが、この条例は、自治基本条例の基本理念に基づきまして、より一層、市民の市政への参加を推進するとともに、行政運営の透明性の向上を図ることを目的として、パブリックコメント手続を制度化するため制定するものでございます。具体的には、市民の生活にとって重要な政策等といたしまして、行政計画、条例、審査や処分の基準等を定める際に、その内容を案の段階で公表し、市民の意見を求め、御意見を受けて修正した結果などを公表する一連の手続を市の共通のルールとして定めるものでございます。このルールに基づき、適切に手続を実施することにより、行政運営の透明性を確保すること、また、市民への応答責任を的確に果たしていくことができるものと考えております。
次に、この手続を実施する上で配慮する点についてでございますが、この手続のほかにも、各種広聴制度など、市民の意見を聴取する手法がございますので、政策等の策定に際し、さまざまな手法を組み合わせて、多くの御意見をいただけるよう取り組むことが大変重要であり、これらの多様な参加の機会を保障する取り組みを総合的に進めていくことによりまして、市民の参加を一層推進してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆ ◎市民局長(小宮山健治) 市民局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、市民カードについての御質問でございますが、市民カードを利用して証明書の交付等の行政サービスを受けられるキオスク端末は、平日は8時半から 19時まで、また、土曜、日曜及び祝日においても9時から19時まで利用できることから、証明書の交付等を受けることができる時間帯が拡充され、多様化する市民のニーズに幅広く対応することが可能となります。また、住民票の写しや戸籍の謄抄本に加え、市民税・県民税課税額証明書など、窓口が異なる証明書の交付を1カ所で即時に受けることができるという大変便利な機能を備えております。このキオスク端末の利用が進むことで、窓口の混雑が緩和され、市民サービスの大幅な向上が図られるとともに、窓口業務の軽減化につながっていくものと考えております。
次に、市民カードの利用範囲についてでございますが、国・県とのアクセスにつきましては、システムの仕組みの違いがありまして、またセキュリティの課題もございますので、連携については考えておりません。クレジットサービスにつきましては、市民の皆様のニーズを見きわめる必要があるものと考えております。ふれあいネットシステムとの連携につきましては、ふれあいネット登録者には市民以外の方や団体登録の方も含まれておりまして、市民カードとは発行対象者が異なること、また、市民カードにふれあいネットカードの機能を持たせるためには、新たなシステム開発が必要なことなどから、費用対効果や有用性の面からも課題があるものと考えております。
次に、住民基本台帳の閲覧についての御質問でございますが、本市におきましては、個人情報保護の観点から、閲覧目的の確認、事前受け付けや閲覧者数などによる制限に加えまして、平成18年3月からは、原則として転記できない閲読とするなど、実質的に商業目的の閲覧などを制限しておりましたが、11月1日からは、法の改正を受け新たな要綱を設置し、より厳格な請求者及び請求理由等の確認を実施しているところでございます。具体的には、商業目的の閲覧はできなくなり、官公署であっても、請求事由や取扱者の指定の明示を求めることとし、また、本人確認につきましては、原則として旅券、運転免許証など官公署発行の写真つきのものとするなど、より個人情報保護に留意したものとなっております。
次に、市民への周知につきましては、既に区役所等閲覧受付窓口でチラシを配布するとともに、川崎市ホームページに掲載しているところでございます。以上でございます。
◆ ◎環境局長(海野芳彦) 環境局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、緑の基本計画の改定についての御質問でございますが、まず、改定の趣旨についてでございます。本市では現行の緑の基本計画を平成7年10月に策定し、緑の保全及び緑化の推進を図り、公園緑地の整備や緑地保全施策の推進など一定の成果を上げてまいりました。しかしながら、環境インフラの必要性、さまざまな主体が協働して取り組む仕組みの充実など、緑が実感できるまちのあり方が求められている中で、都市計画公園の整備のおくれや樹林地や農地の減少傾向が進む一方、緑の基本計画を取り巻く国の新たな政策や、本市の総合計画が策定されたことから、これらに適合する計画として見直しを行うものでございます。
次に、これまでの審議における要点についてでございますが、臨海部の海、多摩川、多摩川崖線、多摩丘陵は、市域の骨格を形成する貴重な自然的環境資源でございます。こうした環境資源を中軸に据え、緑の質への転換に向けた持続的な取り組みを地域の文化としてとらえ、市民が誇れる美しい川崎づくりを目指す緑のグランドデザインを策定し、緑と水のネットワーク形成の充実を図ることとしております。
施策の展開に当たりましては、すべての施策は市民や企業との協働を基本とし、それぞれが果たすべき役割を明確に示し、多彩な市民活動の交流を進めることにより緑の市民文化をはぐくみ、その結果として地球環境都市への飛躍を目指すものとしております。
次に、3つの基本目標と5つの将来像についてでございますが、基本目標につきましては、1つ目は、市民協働を基本とした緑のマネジメントの構築、2つ目は、緑のインフラの構築と持続による地球環境都市への飛躍、3つ目は、緑の質の向上としております。
次に、10年後の姿を描いた緑の将来像につきましては、1つ目は、市民・企業・行政が連携し、緑によるまちづくりが持続的に行われている、2つ目は、地球環境に配慮した緑の保全・創出の取り組みが行われている、3つ目は、多様な緑が保全・創出され風格のある都市が形成されている、4つ目は、地域特性に配慮した緑と水のネットワーク形成による生活空間に四季の移ろいが実感できるまちになっている、5つ目は、地域に根差した多様な緑の保全・創出・育成の中から、かわさき緑の市民文化がはぐくまれ、持続的な地球環境都市への飛躍が図られている、としております。
次に、自然的環境資源の保全と人工的な緑の創出の案についてでございますが、自然的環境資源の保全につきましては、市域の骨格を形成する4つの自然的環境資源として臨海部の海、多摩川、多摩川崖線、多摩丘陵をみどり軸として設定し、広域的な観点も含めて、それらをつなぐための保全・再生施策を推進することとしております。また、人工的な緑の創出につきましては、例えば、臨海部におきましては、臨海部への5本の道路を風の道としてとらえ、海からの冷涼な風を市街地に引き入れるために、従来の臨海部一律での緑化施策ではなく、それぞれの特性を踏まえながら、各事業所との協働による地区別緑化計画を作成するなど、さまざまな手法により風の道となるよう効果的な緑化を図ることとしております。
次に、基本方針の方向性についてでございますが、5つの将来像を実現させるために、具体的な基本方針を設定しておりまして、協働施策の充実、みどり軸の保全・再生・継承、みどり拠点の整備推進や都市拠点などの重点的な緑化推進、緑と水のネットワーク形成に向けた緑の保全と地域ぐるみによる緑化の推進と普及啓発、市民や事業者との協働とその交流などによる緑の市民文化のはぐくみ、などが基本方針の方向性としてとらえられているところでございます。
また、施策の具体的展開に当たりましては、多様な場でのさまざまな主体がかかわることを前提に、どこで、だれが、何を、を明確にすることが重要でございますことから、各種施策をそれぞれのエリアを示す図の中で明らかにし、本計画を推進していく考えでございます。
次に、今後のスケジュールでございますが、これまでに5つの基本方針を中心に審議されてまいりましたが、今後は、区別方針、施策の体系及び緑の確保目標等について審議をいただき、平成19年度初めに市内3カ所で市民説明会を開催し、市民意見を踏まえた素案の審議を行い、来年の8月ごろを予定しております環境審議会からの答申をもとに、緑の保全及び緑化の推進に関する条例に基づく市民の意見を求める手続など必要な措置を行い、来年秋ごろの策定を目指しております。
次に、本市の低公害車の導入実績とCO2削減効果及びその評価についての御質問でございますが、初めに、低公害車の導入につきましては、国が平成13年度に低公害車開発普及アクションプランやグリーン購入法を定めておりますが、本市はそれ以前から電気自動車などの低公害車を率先導入するなど、その普及に努めてきた経緯がございます。また、平成14年7月には、これらをさらに具体的に推進するため、川崎市グリーン購入推進方針を策定し、低公害車として電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車を初め、八都県市指定低公害車あるいは低燃費車の導入を進めてまいりました。こうしたことから、その導入実績といたしましては、平成13年度末で、公用車1,812台中315台、率にして17.4%を、平成17年度末においては、1,673台中782台、率にして46.7%の導入割合としてきたところでございます。また、CO2削減効果につきましては、平成13年度の排出量約2万700トンに対し、平成17年度は約2万トンで、約3%の減少となっております。
次に、目標に対する評価でございますが、平成11年度から、本市が率先して市の事務事業に伴うCO2などの削減に取り組む、川崎市役所環境管理システムを進めているところでございまして、その中で、公用車のガソリン、軽油使用量を平成11年度を基準として、平成17年度までに5%の削減を目指してまいりましたが、目標を上回る8.4%減を達成したところでございます。このことは、この間のガソリン車、ディーゼル車の低燃費化、天然ガス自動車等への代替が反映された結果と考えております。しかしながら、環境への取り組みはこれでよしということはなく、本市が率先しCO2削減計画を進めることは大変重要でございますので、本年度に策定した第3次環境管理システムにおいて、紙類や電気等の削減とともに公用車の燃料使用量につきましても新たな目標を設定し、取り組んでいるところでございます。したがいまして、今後とも、低公害車及び低燃費車の導入を促進するとともに、現在注目を集めているエコドライブにつきまして、その普及促進に鋭意取り組んでまいりたいと存じます。
次に、資源循環型社会の構築についての御質問でございますが、初めに、生ごみ排出抑制の市民・事業者への周知についてでございますが、本市では、循環型社会の構築に向けて、家庭系ごみの約36%を占めている生ごみの減量・リサイクルを目指し、かわさき生ごみリサイクルプラン素案を策定し、現在パブリックコメントを実施し、市民の皆様の御意見を募集しているところでございます。このプランにつきましては、大都市では初めて生ごみの減量・リサイクルを体系化したものでございまして、「持続可能な循環型の生ごみリサイクルシステムの構築を目指して」を基本理念とし、発生・排出抑制を初めとした3つの基本方針と5つの取り組みを柱として掲げております。御指摘のとおり、市民・事業者・市のそれぞれが役割を明確にし、実行することが重要でありますことから、市民の皆様に対しましては、市政だより、3Rニュースなど、既存の広報媒体とあわせ、生ごみリサイクルハンドブックの作成や生ごみリサイクルに関するホームページの活用など、PR活動を行ってまいりたいと考えております。また、事業者に対しましては、生ごみリサイクルに関する事例紹介などを行う講習会の開催や、事業者向けの生ごみリサイクルハンドブックの作成など、積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えております。
次に、生ごみ肥料の受け皿についてでございますが、生ごみリサイクルの課題は、できた肥料や堆肥の受け皿をどのように確保していくかということでございます。現在行っておりますモデル事業では、肥料や堆肥を農家等で使っていただいておりますことから、さらに使用していただける農家等を拡大していくことが肝心でございます。このためにはJAとの連携が不可欠でございますので、モデル事業で得られた情報をJA、農家と共有するなどの連携を深めてまいります。また、その数量につきましては、肥料の利用状況や効果などを検証し、そのバランスを含め検討してまいりたいと考えております。
次に、生ごみリサイクルプラントの整備及び公共施設から出る生ごみのリサイクルについてのスケジュールについてでございますが、生ごみリサイクルプラントにつきましては、本市の地域特性を踏まえまして、大きな循環を担う施設として、庁舎、学校、市場などの公共施設から出た生ごみの肥料・飼料・燃料化を行うプラントの建設を目指すこととしております。具体的な建設主体や建設場所、そのスケジュール等につきましては、現在行っておりますモデル事業の成果を検証しながら、産学官の連携による設置の可能性など、さまざまな視点から検討し、実行してまいりたいと存じます。また、先進の環境技術を持った企業が集積した、川崎の特性を生かした民間主体でのメタン発酵等による生ごみリサイクルの事業化についてもあわせて検討してまいります。
次に、モデル事業の検証状況と今後の展開についてでございますが、本事業では、麻生区を中心に小学校の給食残渣等を東京農業大学に運び肥料化しているモデル、5校の小学校に生ごみ処理機を設置し、給食残渣等の堆肥化を行うモデル、高津区の集合住宅に生ごみ処理機を設置し、畑で堆肥として利用しているモデルの3つの事業を展開しているところでございます。その結果といたしましては、平成17年度におきまして、合計約30トンの生ごみが肥料・堆肥化され、当該小学校の花壇、あるいは農園等で利用されたほか、学校の委員会活動に取り入れられるなどの環境教育への活用が図られているところでございます。また、今年度におきましては、肥料としての効能を確認するため、農家に使用上の利便性や保存性などの使い勝手の御意見を伺い、利用先の拡大の可能性について検討しているところでございます。今後につきましては、モデル事業を継続し、さらに効能などを検証してまいりたいと考えております。
次に、ミックスペーパーの分別収集体制のあり方についてでございますが、ミックスペーパーにつきましては、先月から川崎区及び幸区の一部地域、約 4,200世帯でモデル収集を開始したところでございます。このモデル地域の収集体制につきましては、来年4月に全市で予定しておりますごみ収集体制の見直しを前倒しし、普通ごみを収集しない日にミックスペーパーを収集しているところでございます。しかしながら、今後、ミックスペーパーのモデル地域を順次拡大し、平成22年度をめどに全市実施を図るためには、新たな収集体制の整備が必要となります。したがいまして、今後は、モデル地域を順次拡充していくことから、対象地域の拡充に合わせた車両や人員の配置など柔軟な収集体制の構築が必要となりますので、ミックスペーパー自体の特徴や事業スケジュール、さらには経済性や職員の退職動向などを総合的に勘案し、民間事業者を活用した効率的・効果的な収集体制について検討してまいりたいと存じます。以上でございます。
◆ ◎健康福祉局長(入江?一) 健康福祉局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、保育事業についての御質問でございますが、平成19年4月開設予定の保育所整備状況でございますが、公設民営による新設2カ所、民設民営による新設2カ所及び増築1カ所の整備がございまして、公設民営による整備につきましては、高津区千年に社会福祉法人厚生館福祉会を受託法人とするたちばな中央保育園を、高津区久地に社会福祉法人大慈会を受託法人とするくじ保育園を建設しております。民設民営による整備につきましては、幸区北加瀬に社会福祉法人長尾福祉会によるどりーむ保育園を、多摩区宿河原に社会福祉法人宿河原会によるひばりっこくらぶ保育園を建設しております。また、増築による整備につきましては、中原区木月の社会福祉法人川崎立正福祉会による木月保育園でございまして、いずれも平成19年4月運営開始に向け準備を進めているところでございます。
次に、新年度の入所希望者への広報につきましては、8月に保育所入所案内を作成し、各区保健福祉センター窓口で保育所入所の相談に来所した際に配布し、あわせて11月1日号の市政だよりにおきまして、新設や増築などによる保育所の情報を掲載したところでございます。また、12月中旬に市のホームページにおきまして情報を掲載する予定でございます。
次に、保育基本計画の見直しの視点と整備要件についてでございますが、社会の動向や保育を取り巻く環境が変化しておりますので、それを踏まえて計画の見直しを行っているところでございます。今回の保育所の整備につきましては、人口急増地域という現在の保育ニーズに対応した計画に伴っておりますが、将来においても継続的な保育需要が見込まれる地域でもございますので、適正配置の計画でもあると考えております。また、今後の新たな保育所整備に関しましては、基本的には民設民営方式を考えております。
次に、民営化する保育園の保護者説明会でございますが、計画を公表いたしました11月17日に保護者の皆様に計画のお知らせ文を配付いたしましたが、その後、高津保育園では11月25日、日進町保育園では12月3日にそれぞれ説明会を開催しており、今後も引き続き行っていく予定でございます。
次に、転園に対する考え方についてでございますが、平成20年4月に開設する川崎区及び高津区の民設保育園は、既存公立園を廃止して民営化する際の受け入れ園といたしますので、卒園児を除いて全員が新園に転園をしていただく予定でございます。ただし、全く別な場所の保育園への転園を希望した場合には、他の転園希望者と同様の選考を行う予定でございます。
次に、新園での受け入れ数についてでございますが、日進町保育園の定員95人のうち、卒園に当たる5歳児20人を除く75人、高津保育園の定員85人のうち、5歳児20人を除く65人を受け入れる予定でございます。
次に、平成19年度入所申請者に対する計画の説明につきましては、12月以降に区保健福祉センターに保育所入所相談や申請に来所しております保護者の方には、区窓口におきまして説明をしております。しかし、入所申請は11月から開始しておりますので、既に該当保育園に申し込まれた方には、計画説明文等を郵送し、問い合わせに対応しているところでございます。
次に、在園児に対する転園等の説明でございますが、先ほど申し上げた保護者説明会におきまして、公立園廃止に伴う計画を説明するとともに転園などの考え方を説明しているところでございます。次に、既設園から新園への転園についてでございますが、他の転園希望者と同様の選考を行う予定でございます。
次に、神奈川県後期高齢者医療広域連合についての御質問でございますが、初めに、本市と広域連合のかかわりについてでございますが、平成20年4月に施行される予定の高齢者の医療の確保に関する法律に定められているとおり、広域連合の設立に関しましては、すべての市町村が加入しなければならないとされております。本市といたしましては、本年7月に設置されました広域連合設立準備委員会に職員の派遣を行い、また、この準備委員会の運営費といたしまして、市町村分担金の支出など、広域連合の本年度内の設立に向けて準備作業を進めているところでございます。
次に、本市の財政負担でございますが、総医療給付費に対する公費負担分の6分の1に相当する額を負担することとされております。また、広域連合運営に当たっての人件費等の共通経費を負担することとなっております。以上でございます。
◆ ◎まちづくり局長(寒河江啓壹) まちづくり局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、公共建築物の耐震対策に伴う緊急実施設計委託等についての御質問でございますが、まず、公共建築物の耐震対策につきましては、耐震性能がAランク及びBランクの施設について、今後10年間で完了させることとしております。これらの対策とあわせて、特に耐震性能の低い部分がありましたAランクの施設につきましては、短期間のうちに可能な範囲で耐震性能の向上を図る必要がありますことから、緊急的な応急措置を講ずるものでございます。しかしながら、建物の機能を確保しつつ、市民サービスを維持しながら耐震性能を向上させるためには、さまざまな制約がありますことから、これら制約の多い施設につきましては、当面の緊急対策として、Bランクに向上させるための措置を講ずるものでございます。
次に、耐震対策を実施する施設の優先順位につきましては、多数の市民が利用する施設を優先しながら、地域防災計画上の位置づけや対策実施に伴う制約条件などを総合的に勘案し検討してまいります。
次に、費用の調達につきましては、国の補助金などの導入を含め、必要な財源を確保できるよう関係局と協議してまいります。
次に、大規模公衆浴場についての御質問でございますが、まず、神奈川県内の建築の行政庁である神奈川県及び12自治体による第1回目の協議につきましては、13行政庁のうち11行政庁が集まり、平成18年10月26日に行いました。協議内容につきましては、事前に行いましたアンケート調査結果を中心に意見交換を行い、住居系用途地域内で建設される大規模な駐車場を伴う大規模公衆浴場などについて、各行政庁においても問題意識を持っていることを確認いたしました。しかしながら、現在の建築基準法に基づいて、大規模公衆浴場や建築物ではない駐車場を規制することは難しいとの意見も集約されたところでございます。また、出席した行政庁によっては、建設事例がない行政庁もございましたので、今後も引き続き情報の共有化を図る作業に努め、問題点を集約し、各行政庁と大規模公衆浴場の建物用途の定義について意思統一を図ることを目標に協議を重ねていくことが確認されました。
次に、市と指定確認検査機関との連携につきましては、建築確認申請前におきましては、 本計画が明らかになった昨年6月末から、市と設計者との間で協議を重ね、飲食店等の店舗の床面積の算定方法等に関する指導を行ってきたところでございます。また、確認申請が行われた後におきましては、指定確認検査機関が確認申請を審査中に、市から指定確認検査機関に対し、確認申請図書の提供を要請し、その図書により、市が行ってきた指導内容と整合性が図られた計画であることを確認しております。
次に、周辺住民と事業者との調整につきましては、建築確認済証が交付され、工事請負業者も決定いたしましたので、川崎市建築行為及び開発行為に関する総合調整条例に基づきまして、事業主や工事請負業者に対し、工事中の紛争を予防し安全で円滑な工事を行うために、工事説明会の開催や事前家屋調査の実施、対象事業に係る工事について協定を締結するよう指導しているところでございます。また、今後とも周辺住民の皆様と事業者による円滑な話し合いが行われることが大切であると考えておりますので、継続的に話し合いを行うための場の設定について、周辺住民の方と調整を進めているところでございます。
次に、羽田連絡道路の協議状況等についての御質問でございますが、羽田連絡道路につきましては、京浜臨海部幹線道路網整備検討会議の場で検討を行ってまいりましたが、羽田地区の基盤施設との一体的な検討及び関係機関の連絡調整を図ることを目的といたしまして、本年10月にこれまでの検討会議を発展拡大した京浜臨海部基盤施設検討会が発足したところでございます。この検討会は、連絡道路と羽田空港跡地に関連した基盤施設などを一体的に検討するものであり、現在、国と東京都、神奈川県、本市などで、次回検討会の早期開催に向け調整を進めているところでございます。
また、羽田空港跡地につきましては、平成14年に国から東京都及び大田区に対し、空港跡地案のたたき台として面積約53ヘクタールが提示され、大田区や東京商工会議所が羽田空港跡地利用について独自に提案しているところでございますが、今後は、国、東京都、大田区などの関係機関により利用計画をまとめていくと伺っております。
次に、宅地造成の変更許可に関する手数料条例の改正経過などについての御質問でございますが、まず、この手数料につきましては、改正宅地造成等規制法の公布とともに、神奈川県内関係自治体の手数料を統一するため、本年4月から8回にわたる検討協議を行ってきたところでございます。その後、9月27日に公布された省令を精査し、神奈川県内関係自治体との連絡調整、法制面での検討を行うなど、手続を進め10月23日に専決処分を行ったものでございます。この結果、神奈川県内では本市が最も早い改正を行っております。
次に、省令施行日の9月30日から専決処分を行った10月23日までのいわゆる空白期間によって手数料を徴収することができなかった案件につきましては、3件ございまして、手数料金額といたしましては4万5,300円でございます。なお、この空白期間によりまして、手数料を徴収できなかった案件が生じたことにつきましては、公平性の観点から好ましいことではなく、今後の条例改正におきましては、さらなる情報収集と一日も早い条例改正手続を行うよう努めてまいります。
次に、市民への周知につきましては、省令公布前の9月22日から、本市ホームページに条例を改正する予定であることを掲載するとともに、申請窓口におきましても資料を配布してまいりました。以上でございます。
◆ ◎港湾局長(永野幸三) 港湾局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、臨海部の活性化策についての御質問でございますが、川崎港の臨港地区内における構築物の規制についてでございますが、近年、川崎市臨海部におきまして、産業構造の変化により、物流業に関しましては、流通加工などに対応する高付加価値物流施設の立地が、また、製造業に関しましては、新技術等の研究開発施設の立地が求められているなど、土地利用ニーズはますます多様化し、従来は禁止構築物とされてきた施設等の立地が求められるようになってきております。また、臨港地区における就業環境の向上などのため、コンビニエンスストア等の設置を求める要望も寄せられております。
川崎港のさらなる活性化を図るためには、臨港地区内における構築物の規制について見直しを行い、これらの土地利用ニーズに対応する必要がありますことから、現在、川崎港の臨港地区内の分区における構築物の規制に関する条例の一部改正に向けて見直し作業を進めております。
また、見直しのスケジュールについてでございますが、現在、パブリックコメントを実施しておりまして、ことしの12月28日までの間、市民や事業者の皆様から御意見を募集しております。この中でいただいた御意見等を参考に最終的な案をまとめまして、次回の市議会定例会に条例の改正について提案してまいりたいと考えております。
次に、川崎港千鳥町地区の再整備についてでございますが、川崎港千鳥町地区は、公共埠頭を中心に市民生活や社会経済活動において重要な役割を果たしてまいりました。しかし、千鳥町公共埠頭の港湾施設は、建設後約40年を経過して施設の老朽化や貨物の混在、取扱貨物の変化などにより、荷役の非効率化等が生じておりますことから、物流コストの削減や貨物の混在解消、取扱貨物に応じた施設配置の見直しなど、港湾機能の強化が求められております。そのため、本年 11月に川崎港千鳥町再整備の基本的な考え方を取りまとめたところでございます。この中で、既存ストックの有効活用を図りながら港湾施設を再配置し、段階的に再整備を進めることとしております。具体的には、対象となる千鳥町地区公共埠頭を砂利・砂・石灰石などを取り扱う原料資材貨物ゾーン、金属くず・木材チップ・再利用資源などを取り扱う循環資源貨物ゾーン、製材・食品・木製品などを取り扱う加工製品貨物ゾーンの3つの物流ゾーンに区分することにより、貨物の混在を解消し、物流の効率化によるコスト削減を果たしてまいります。また、老朽化した公共岸壁の改修を行うとともに、岸壁から荷さばき地までの貨物の移動をスムーズに行えるよう、上屋の撤去やエプロン・荷さばき地の拡幅などにより、荷役効率の向上を図ってまいります。さらに、環境対策等の観点から、新たに建設する集約型倉庫等への太陽光発電などの自然エネルギー導入や、一度に大量に運べる海上輸送の促進による環境負荷の軽減などを図るとともに、企業との連携によるちどり公園の活性化など、市民に親しまれる空間づくりも目指してまいります。今後は、関係事業者の方々の御理解、御協力を得て、再整備の実行計画を策定し、事業の実施を図ってまいりたいと考えております。
次に、損失補償の妥当性と議会へ説明についての御質問でございますが、初めに、損失補償の妥当性についてでございますが、KCTに関する損失補償については、適正になされていると考えております。総務省の調査では平成15年度で商法法人、民法法人合わせて507法人と自治体との間で損失補償協定が締結されており、公益性のある第三セクターへの支援策の一つとして広く活用されております。
次に、損失補償については債務保証を制限している財政援助制限法第3条の規制するところではないとする自治省の判断がございます。加えて、大牟田市における裁判例では、福岡地方裁判所において、地方公共団体が法人に対して損失補償契約を締結することは、法の予定するところであるから、損失補償契約の締結自体をもって財政援助制限法に違反するとは言えないとの判決があり自治体側が勝訴しており、福岡高等裁判所も福岡地方裁判所の判断を支持しております。住民側原告は最高裁へ上告しましたが、上告を棄却するとの最高裁判所の決定がありまして、行政側の勝訴が確定しております。これらのことから、損失補償と債務保証は異なる法律行為であって、損失補償は適法と認識しており、その旨、裁判でも主張してまいりましたが、他都市の事例や他の判例を考えますと、今回の判決で示された一部理由については、現段階では定着した判断ではないものと考えております。
議会への御説明に関しましては、説明責任は大変重いものと認識しております。本件につきましても、これまでも損失補償の債務負担行為の設定時や損失補償の実行時など、時期をとらえて御説明してまいりましたが、今後とも議会や市民に対しまして十分に御説明してまいりたいと考えております。以上でございます。
◆ ◎消防局長(岸田克彦) 消防局関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、救急需要対策等についての御質問でございますが、増加する救急需要に対する救急車の適正利用などの検討内容についてでございますが、平成18年3月31日付で総務省消防庁から通知されました「救急需要対策について」において、直ちに取り組むべき対策が示されましたことから、庁内に救急需要対策検討委員会及び警防対策検討委員会を設置し検討を行ったものでございまして、1つには、頻回利用者に対する取り組みとして、関係部局と連携し個別指導や毅然たる対応で適正利用について理解を求めていくこと。2つには、現在行っている救急フェアでのパンフレットやリーフレットの配布、消防局ホームページやアゼリアビジョンの活用による広報等を継続していくほか、公共交通機関や大規模商業施設等を活用し市民の皆様などへ適正利用についての普及啓発を推進していくこと。3つには、軽症利用者に対し、関係機関と連携協議してタクシーや患者等搬送事業者、いわゆる民間救急車の代がえ措置を提供するためのシステムを構築すること。4つには、緊急性の少ない病院から病院への転院搬送については病院所有の救急車や患者等搬送事業者の活用を働きかけていくこと。5つには、重症度・緊急度の高い傷病者が発生した場合には、救急隊出場と同時に最寄りのポンプ隊を出場させて、救急隊が到着するまでにポンプ隊員に応急手当てを行わせる、PA連携により救命率の向上を図っていくことなどでございます。
次に、救命率向上に向けた今後の対応策についてでございますが、不要不急の救急要請を減少させ、重症度・緊急度の高い傷病者に対しまして、迅速な対応が可能となるよう、先ほどお答えいたしました5つの救急需要対策を推進していくとともに、バイスタンダーによる応急処置の有無が傷病者の生命予後に大きく影響いたしますことから、従来から行っております応急手当法の普及啓発の継続的な推進、救急救命士の養成、研修等の充実を図っていく必要があると考えているところでございます。また、現在、総務省消防庁におきまして、傷病者の緊急度に応じて救急搬送の順位づけを行うトリアージの導入について検討が進められておりますことから、これらの動向を踏まえながら、今後具体的な対応を図ってまいりたいと存じます。
次に、特別高度救助隊等についての御質問でございますが、初めに、特別高度救助隊等の創設の時期についてでございますが、臨港消防署に特別高度救助隊、宮前消防署に高度救助隊を、それぞれ平成19年4月1日の創設を目途に諸準備を進めているところでございます。
次に、隊員の養成及び研修についてでございますが、現在任命しております特別救助隊員の中から知識、技術、体力、特殊技能の資格取得状況等を勘案して選抜を行い、総務省消防庁消防大学校において実施されます特別高度救助隊研修及び高度救助隊研修を受講させるほか、消防局内におきましても、専門的な知識の習得及び高度救助用資機材の習熟訓練を初め、NBC災害や危険物災害等の特殊災害を想定した各種訓練を実施することとしております。
次に、車両及び救助用資機材の装備についてでございますが、車両につきましては、既に保有しております救助工作車?型及び原子力災害対策車を充てることにしておりまして、また、救助用資機材につきましては、救助隊の編成、装備及び配置の基準を定める省令に基づき、既存の救助用資機材の装備に加えて、新たに地震警報機、二酸化炭素探査装置及び水中探査装置が必要となりますことから、関係局と協議し、早期の整備に向けて努力してまいります。
次に、特別高度救助隊等を創設することにより対応が可能となる災害についてでございますが、特別高度救助隊及び高度救助隊は、既存の特別救助隊と比較いたしますと、救助技術の専門性が高まりますことから、新潟県中越地震やJR福知山線列車事故などの大規模な災害発生時におきまして、より高度な人命救助活動を初め、NBC災害などの特殊な災害に即応できるものと考えております。以上でございます。