議会発言集
議会発言集
令和 4年 決算審査特別委員会(健康福祉分科会 第2日)−09月29日-07号
令和3年 決算審査特別委員会(文教分科会 第1日)−09月22日-04号
令和2年 決算審査特別委員会(文教分科会 第2日)−09月25日-05号
令和1年 決算審査特別委員会(総務分科会 第1日)−09月19日-02号
令和1年 決算審査特別委員会(総務分科会 第2日)−09月25日-03号
平成30年 決算審査特別委員会(健康福祉分科会 第2日)−09月28日-
平成29年 決算審査特別委員会(総務分科会 第2日)−09月21日-
平成29年 決算審査特別委員会(総務分科会 第1日)−09月19日-
平成27年 第1回定例会ー2月26日ー 自民党代表質問(前編)
平成15年 決算審査特別委員会(一般会計・特別会計)−12月12日
平成12年 決算審査特別委員会(一般会計・特別会計)−12月11日-
平成21年 第2回定例会−06月29日−
◆45番( 石田康博) 新公会計制度における公会計改革及び資産・債務改革について市長と財政局長に一問一答方式で伺います。
地方公共団体の公会計改革及び資産・債務改革については、平成18年の簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律、いわゆる行政改革推進法、経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006、いわゆる骨太の方針2006、地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針、いわゆる地方行革新指針などで要請されてきたところであります。発生主義と複式簿記の手法を用いた財務書類の作成・活用を通じて、資産・債務に関する情報開示と適正な管理を進めていくことが求められておりますが、それだけにとどまらず、行政コスト計算書の活用によるコスト分析、資産の有効活用の推進等といった資産・債務改革に取り組むことが必要と考えます。そうしたことから、川崎市の公会計改革及び資産・債務改革への取り組みについて、以下、財政局長に伺います。初めに、現在、地方公共団体においては公会計改革の取り組みが進められておりますが、川崎市における取り組み状況について伺います。
○副議長(嶋崎嘉夫) 財政局長。
◎財政局長(浮揚庸夫) 公会計改革についての御質問でございますが、本市におきましては、企業会計的手法による川崎市の財政状況といたしまして、平成10年度決算分から普通会計のバランスシートを作成・公表したところでございます。さらに、平成12年度決算分からは、普通会計の行政コスト計算書と企業会計も含めた全会計のバランスシートを、平成16年度決算分からは第三セクター等を含めた連結バランスシートを、平成17年度決算分からは普通会計のキャッシュフロー計算書を作成、公表しておりまして、現金主義では見えにくい費用や資産に関する情報を市民の方々にわかりやすくお示しする取り組みを進めているところでございます。これらの財務諸表は、総務省方式と呼ばれる標準的な基準に準拠して作成しておりますが、この方式による財務諸表には、作成が比較的容易であり、他団体との比較が可能であることなどのメリットがある一方、資産、負債の状況が正確に把握できないことなどのデメリットがございました。このため、総務省から地方における資産・債務改革の推進等を目的として、資産の詳細把握や発生主義、複式簿記の考え方を導入した新たな財務諸表の作成モデルが提示されるとともに、平成20年度決算から、これらのモデルを活用した新たな財務諸表を作成、公表することが要請されているところでございます。本市におきましても、この新公会計制度に対応した新たな財務諸表について、平成20年度決算からの公表に向けて取り組みを進めているところでございます。以上でございます。
○副議長(嶋崎嘉夫) 石田議員。
◆45番( 石田康博) 次に、公表の時期についてですが、公会計改革の趣旨を踏まえれば、決算報告に合わせて作成すべきと考えますが、今年度の作成スケジュール及び来年度以降に向けての取り組みについて伺います。
○副議長(嶋崎嘉夫) 財政局長。
◎財政局長(浮揚庸夫) 財務諸表の公表時期についての御質問でございますが、従来の総務省方式による財務諸表は、毎年8月に総務省に提出する地方財政状況調査の数値をもとに作成していることから、公表時期が11月下旬ごろとなっておりましたが、新公会計制度による新たな財務諸表につきましては、今年度の作成作業を通じて効率的な手法を確立するなど、可能な限りの早期公表に向けた取り組みを進めてまいりたいと存じます。以上でございます。
○副議長(嶋崎嘉夫) 石田議員。
◆45番( 石田康博) 予算の執行による資産の増減等も含めた決算の情報を次の予算編成につなげていくことが重要であると考えています。有意義でわかりやすい情報の作成とともに、早期の公表に向けた取り組みもしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、本市では、基準モデルを選定せず、従来の総務省方式から総務省方式改訂モデルの新たな財務諸表を選択しております。固定資産の範囲は昭和43年度以前に取得したものなどが新たに加わり、実際に近づくことになります。ストック情報が充実することによって、市民への明確な説明と正確な財務状況をとらえることができ、市有財産の有効活用を可能とします。公会計改革を進めていくに当たっては、財務諸表の作成が目的ではなく、これをいかに活用していくかが重要であります。そこで、市の保有する資産・債務の正確な把握を通じた資産・債務改革を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。
○副議長(嶋崎嘉夫) 財政局長。
◎財政局長(浮揚庸夫) 資産・債務改革についての御質問でございますが、新公会計制度に対応した新たな財務諸表は、財政状況の公表や分析に使用するだけでなく、資産・債務の適正な管理の推進、政策判断に資する情報として活用していくことが重要であると考えております。資産・債務改革の推進に向けましては、債務については財政健全化法において実質公債費比率や将来負担比率が健全化指標に採用されるとともに、本市におきましては、財政問題研究会報告書で示されたプライマリーバランスなどの将来負担の縮減を図るための指標も活用いたしまして、計画的な市債管理等の取り組みを進めているところでございます。
一方で、資産につきましては、その総額などの全容が適正な評価を通じて十分に把握されているとは言えない状況であり、取り組むべき課題が多いと認識しているところでございます。歳入の大きな伸びが期待できない経済状況の中で、今ある資産をより有効に活用することの重要性はますます高まってまいりますので、今後は、耐用年数、減価償却費、取得財源、リース資産の情報などを含む詳細な資産情報を一元的に把握・管理するなどの新公会計制度に対応した財務諸表作成に向けた取り組みを通じて、売却、貸し付けといった従来の有効活用手法にとどまらず、庁舎などの公用施設や市民利用施設の多くが更新時期を迎える中で、長寿命化の取り組みとの連携を図りながら、施設複合化、高度利用等のアセットマネジメントにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(嶋崎嘉夫) 石田議員。
◆45番( 石田康博) 行政改革推進法第62条第1項に、地域の実情に応じた資産の実態把握と管理体制の状況を確認し、改革に向けた施策を策定する旨が示されております。そこで、未利用財産の売却促進を適正に実施していくことが必要と考えます。市有財産有効活用との関係では、売却可能資産が貸借対照表に計上されてくることになりますが、今後どのように売却可能資産を処分していくのか伺います。
○副議長(嶋崎嘉夫) 財政局長。
◎財政局長(浮揚庸夫) 売却可能資産の処分についての御質問でございますが、平成20年度決算に基づく貸借対照表に計上する売却可能資産は、原則として、事業目的により貸し付けしているものを除いた、現に公用もしくは公共用に供されていない公有財産及び売却が既に決定している、または近い将来売却が予定されていると判断される資産を計上する予定でございます。売却可能資産として計上した土地等につきましては、今後その状況を精査した上で、売却あるいは貸し付け等の活用方法を決定し、年次計画を策定するなど、計画的に活用してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(嶋崎嘉夫) 石田議員。
◆45番( 石田康博) 市有財産の有効活用を可能な限り実施し、自治体経営の視点で財源を確保することが重要であります。そこで、市役所・区役所の駐車場有料化、自動販売機設置場所の貸し付けと市有財産有効活用方針で重点活用策とされていた取り組みが進められていますが、経済環境が不透明な中、今後の方策について見解を伺います。
○副議長(嶋崎嘉夫) 財政局長。
◎財政局長(浮揚庸夫) 今後の市有財産有効活用についての御質問でございますが、平成19年度に策定をいたしました市有財産を有効活用するための基本方針におきまして、重点活用策とした取り組みのうち、自動販売機設置場所の貸し付けにより、平年度ベースで約1億5,000万円の歳入を確保したほか、市役所・区役所駐車場の適正利用、有料化の取り組みにより、平成22年度以降の平年度ベースにおきましては約6,700万円の財政効果を見込んでいるところでございます。今後は、これらの取り組みについて他の施設での実施を検討してまいります。また、広告事業として、各局・各区役所のホームページへのバナー広告掲載、観光パンフレット、区役所ガイドマップ等の市が発行する印刷物への広告掲載、競輪場・区役所などの施設を利用した行政財産の目的外使用許可による広告掲載等に取り組み、平成20年度には約7,600万円の歳入を確保したところでございます。今後とも、財源確保に加えて、市民サービス向上の視点に立った市有財産有効活用を進めてまいります。さらに、中長期的な視点に立ち、民間や先行自治体の資産活用のノウハウなどを研究し、市有財産有効活用の中長期的な取り組み方針を策定してまいります。取り組み方針には、売却可能資産の活用計画、新たな売却可能資産の洗い出し手法に加え、アセットマネジメントの基本的な考え方についても盛り込むなど、経済環境の変化にも対応できるような内容としてまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(嶋崎嘉夫) 石田議員。
◆45番( 石田康博) 中長期的な視点に立った取り組みについて、ぜひ推進してもらいたいと思います。
公会計改革の意義である資産・債務改革を推進していくために、どのような推進体制を検討しているのか伺います。
○副議長(嶋崎嘉夫) 財政局長。
◎財政局長(浮揚庸夫) 資産・債務改革の推進体制についての御質問でございますが、資産・債務改革につきましては全庁を挙げて取り組むべき課題でございますので、今後、庁内横断的な検討委員会を設置し、土地・建物等についての統合管理体制、効率的・効果的な資産の有効活用を可能とする組織のあり方等について検討してまいります。さらに、中長期的な観点から、有識者等による第三者委員会を設置するなど、市有財産有効活用の進捗管理やアセットマネジメントの推進体制などについて検討してまいりたいと考えております。以上でございます。
○副議長(嶋崎嘉夫) 石田議員。
◆45番( 石田康博) 公会計改革及びサブプライム問題以降の経済状況を踏まえ、平成20年度決算見通しの状況を照らし合わせながら、新たな財政収支フレームの編成を前倒しで実施すべきと考えますが、市長に見解を伺います。
○副議長(嶋崎嘉夫) 市長。
◎市長(阿部孝夫) 財政フレームについてのお尋ねでございますが、本市の財政フレームは、まちづくりの基本方針であります新総合計画「川崎再生フロンティアプラン」を実効性の高い地域経営プランとするものとして、具体的な施策、事業の内容や目標を示した3カ年の実行計画と連携して策定しているものでございます。平成22年度には、この実行計画の見直しの年となりますので、財政フレームにつきましても社会経済環境の変化を踏まえて策定してまいります。一方、昨年秋の金融危機以降の経済状況は、一部には明るい兆しが見られるものの、依然として厳しい状況が続いておりまして、今後の本市の市税収入についても予断を許さない状況と認識しております。したがいまして、平成22年度の予算編成に当たりましては、直近の税収見込み等を反映した収支見通しに基づいて施策の優先順位の明確化を図るなど、柔軟かつ機動的に対応し、元気都市かわさきの実現に向けた取り組みを着実に推進してまいりたいと考えているところでございます。以上でございます。
○副議長(嶋崎嘉夫) 石田議員。
◆45番( 石田康博) 意見でございます。次年度の当初予算は、サブプライムに起因した経済環境の激変に伴い、大幅な市民税の減収が予想されております。本市の財政運営も当然厳しい編成を余儀なくされるわけであり、市民生活、行政水準の維持を前提とするならば、当然サブプライム問題以前に策定された中長期計画の大幅な計画縮小を選択しなければならないと考えます。しかし、仮に市内経済の健全性を優先して資本主義経済を安定的なものにするには、政府がさまざまな政策手段を駆使する必要があるというケインズ経済学に基づく手段を優先した場合には、大幅な起債の発行に財源を依存しなければならないわけであり、いずれにいたしましても、新たな財政見通しに立った財政収支フレームの作成が重要となります。これまでに、どの地方公共団体においても公会計改革に取り組んでいるところですが、本市においては単に財務書類を作成するだけにとどまらず、資産・債務に関する正確な情報をもとに資産・債務改革に取り組んでいくという意気込みを伺うことができました。アセットマネジメントの検討など中長期的な取り組みも進めていくとのことでしたので、今後の取り組みにも注目してまいりたいと思いますし、新たな資産活用手法の検討に当たっては、専門家の知恵をかりるなど、これまでの行政の常識にとらわれない自由な発想で、民間の知見も取り入れて進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。